2013年12月1日 旅 No.1
←漢字はこう。「うつぼ」の字は、竹冠に「巻」を書く。
辞書を引いても載っている読みは「カン」「ケン」。「うつぼ」という読みは見当たらず、難読地名だ。
考えてみれば「厳木(きゅうらぎ)町」も難読なのだが。
8:51:22 pm初めての地名の旅。
JIS第3水準漢字「箞」を実際に訪れてみた。
当日はポツリポツリと小雨が降っていた。メガネをかけている僕にとっては一滴一滴が大敵だ。
福岡県の自宅からバスと電車を乗り継いで2時間半。佐賀県の厳木駅に到着。ここから西へ7~9分歩くと・・・
箞木(うつぼぎ)交差点。三角形の交差点で、佐賀県道32号線へ向かう方向の自動車用信号は10秒ぐらいしか青信号していなかった。
歩行者用信号を3分ぐらい待っていたが、押しボタン式であることに気付かなかったわけで、気づいた時すっごい恥ずかしかった。
なお、この交差点の表示では、「箞」の「巻」の部分は新字体のようだ。
「うつぼ木下」踏切付近の電柱にて。こちらも「箞」の「巻」の部分は新字体。
いかにも無理矢理作った感のあるバランスの悪さが良い味を出している。
民家の近くの電柱にて。ここには「巻木」と書いてある。これでは「まきぎ」とか「まくぎ」とかですねぇ。
まぁ「箞」の文字を入力できなかったんだろうか。この字に「うつぼ」という訓はない。
あるいは、「箞」の文字を手作りするのが面倒だったから「巻」に逃げたとか?
かつて福岡県には「席田(むしろだ)」という地名が存在したが、この「席」に草冠を付けて「蓆」とすればこれは「むしろ」と読む字だ。
そんな想像を膨らませるのもまた楽しい。
箞木歩道橋。こっちは旧字体。風のふるさと。
箞木歩道橋の階段の札。イタリックな丸ゴシックデザイン。そいでなんだか直線的なのがかわいい。
特に右の写真は個人的に一番の出来。パソコンの壁紙確定。
こちらは「巻」の部分は新字体。
箞木小学校の門。筆文字のフォントで堂々と。
やっぱりこの学校の生徒さんや教師さんの間で、この字についての話題が出ることってあるのかな。
ガラケーではこの「箞」の字は変換できないような気がするのだが・・・
こちらは、「箞」の「巻」の部分は旧字体。常用漢字外の字は旧字体を使うのがデフォルトだ。
でも古い、手作りで作られた看板たちは、「巻」の部分を新字体でつくっているし、
多分、正しい表記は「巻」の部分を新字体に作った、なのだろう。
「箞木小学校前」バス停。ここは新字体。っていうか「箞」の無理矢理感が非常に良い。
「昭和バス」は佐賀県最大のバス事業者。
「箞木小学校前」バス停の時刻表。ここは旧字体。っていうかこれただのMS Pゴシックだ。
厳木町箞木区掲示板。新字体。
避難所案内板。災害時は箞木小学校へ逃げよう。この看板は旧字体。
ここで雨が強くなってきたし陽が沈みかかっているしというわけで、
数十メートル先にある四阿で雨宿りをした。
で、スマホで地図を見てみると、雨宿りをした場所は相知町町切(おうちちょう ちょうぎり)という地名で、箞木どころか厳木町から出てしまっていた。
付近には踏切もあるが、そのあたりはまだ調べていない。
次に訪れる機会があったら、そこにもカメラを向けてみよう。
初めての稀少地名漢字探訪、いやはや眼福。
次はどこへ行こうか。